いや~やっぱり師走ですね
なんだかんだでバタバタしてる梟です
そんな中、とある探偵さんから電話が入りました
プルルルル・・
ガチャ・・はい
梟さんご無沙汰です○○です
お~久しぶり
今少しお時間良いですか?
うん大丈夫
実は俺、廃業します
えっ探偵を?
はい・・という電話で彼の決断を知った次第です
まあこの男、真面目です、几帳面です
そこいらの探偵とは調査に対する真剣さが違います
それゆえに不器用は否めない・・
そんなだから俺は好きだったし信用していた数少ない探偵さんでした
なんで辞めるのかは聞かなかった・・
だって信用してる彼の選択だもの他人の俺が口を挟む事では無いと思ったのだ
彼は言った
これからも、たまには連絡しても良いかな?
俺は言った
おう、ぜんぜんOK
遠慮せずに何時でも電話してよ
また一緒に飲もうぜ!
こんな感じで話は続いた
そしてふっと俺が彼の所有している調査機材に言及した時だった・・
そういえば機材どうするの?
不要なら幾らかで引き取るけど・・
いや持っておこうと思って・・
なんで?
自分がこの仕事をやっていた証としてしばらくはこのまま手元に置いておきたいんだ
そっか・・
これら機材が今無くなると、これまでの俺が全て無くなるような気がして・・
そういって彼は口を閉ざした
俺はあらためて知った、彼が探偵という職業に全力を注いでいた事を・・
そして彼の全てであった事を・・
しばらく会話して俺たちは、じゃまた・・で電話を切った
受話器を置いて俺はしばらくブルーになった
それは本物が減った寂しさでもあり、ある意味戦友が逝ってしまったかのような孤独感を覚えたのだ
そして何より彼の寂しさも伝わってきていたからだと思う
彼がこの先どう生きるのかは分からない・・
でも俺は知っている、真面目で几帳面で不器用で正義感が強かった探偵がいたことを・・
そして何より彼は彼であり何の仕事をしていようと私の友人に変わりはない・・
普通のサラリーマンであろうと、また万が一でも探偵に戻る事があろうと彼は彼なのだ
だから俺は彼の全ての選択を応援する
だって俺と同じで「適当に・・」という言葉をとっても嫌う男だけに何やっても頑張れる奴だと知っているからだろう・・
と同時に彼に負けないように俺も更に頑張ろう!と思ったのでした
不器用に真剣に探偵業に勤しんだ
この男の前途に多くの幸あることを信じ、今日はこれでおしまい・・
梟 拝